『ギブス』の歌詞カードを開くと、そこには「写真」「貴方」「居て」といった独特の表記や、古典的な情緒を醸し出す言葉選びが目につく。当時の歌謡曲には珍しかったこの文体は、感情の生々しさをどこか客観的な「文学作品」へと昇華させる劇薬として機能している。
生々しい肉体関係や感情の爆発を歌いながらも、どこか冷ややかな冷徹さが漂うのは、この言葉のフレーミングゆえだ。狂気と知性、感情の暴走と緻密な美意識。この両極端な要素が奇跡的なバランスで拮抗しているからこそ、四半世紀が経過しても歌詞の価値は目減りするどころか、古典としての品格すら帯び始めている。