日本のポピュラー音楽史において、2000年1月にリリースされた椎名林檎のシングル『罪と罰』が与えたインパクトは計り知れない。同曲を収録し、ユニバーサル ミュージック合同会社(当時・東芝EMI)からリリースされたアルバム『勝訴ストリップ』は、200万枚を超えるセールスを記録。歌舞伎町の情景を背景に、真っ二つに切断された愛車メルセデス・ベンツが佇むミュージックビデオの退廃的な美しさは、当時のシーンに強烈な爪痕を残した。
ここで鳴り響いていたのは、単なるセンチメンタリズムではない。巻き舌を交えた情念の歌声と、痛切なまでの自己犠牲、そして相手を侵食せんとする独占欲。人間の最も醜く、それゆえに純粋な感情の起伏が、過飾のない言葉によって精密に編み上げられていた。