茨城県第5区の勝敗を握るのは、全体の有権者の過半数を占める日立市と、エネルギー産業の要衝である東海村の動向だ。日立市は言わずと知れた製造業の拠点であり、日立グループ労働組合連合会を中心とする強固な組織票が長年キャスティングボートを握ってきた。だが、その足元でも変化の波が押し寄せている。若手社員の政治的無関心や非正規雇用の拡大、さらには退職世代の保守回帰など、かつてのような「一枚岩」の動員力には明らかな揺らぎが見られる。
一方の東海村は、原発再稼働や核燃料サイクル施設の行方をめぐり、全国で最も複雑な住民感情を抱える地域の一つだ。安全対策と地域振興のバランスに苦慮する自治体関係者や関連企業にとって、国政に誰を送り出すかは死活問題に直結する。産業防衛か、生活の刷新か。二大拠点の有権者が抱く期待と不安の交差点に、激動の震源地がある。