永田町をめぐる一般的な認識には、実態と大きく乖離した「3つの誤解」が存在します。政局の真実を見極めるためには、これらの誤認を排して構造を直視しなければなりません。
第1の誤解は「派閥が解消されたため、総裁選は完全なフリーハンドの個人戦になった」という見方です。看板としての派閥事務所は閉鎖されたものの、旧派閥の人的ネットワークや資金力、当選同期会、政策勉強会といったインフォーマルな集まりが水面下で強固に機能しています。領袖格の重鎮議員が号令をかければ、依然として数十人規模の議員票が束になって動くのが自民党の深層です。
第2の誤解は「世論調査でトップを取った議員が、そのまま総裁に選ばれる」という錯覚です。自民党総裁選のルールは、党員・党友票と国会議員票が同数で争われる第1回投票と、国会議員票の比重が極端に高まる決選投票の二段階構造になっています。大衆人気が高くても、国会議員のあいだで強固な味方を築けていない候補は、決選投票で多党・多派閥の談合によって逆転される構造が構造的に埋め込まれています。
第3の誤解は「女性総理候補は高市早苗氏の単独指名状態である」という思い込みです。メディアの露出は高市氏に集中しがちですが、党内実務派の間では上川陽子前外相の再登板を望む声が根強く残っています。外相時代に築いたG7各国外相との強固なパイプ、答弁の安定感、スキャンダルの無さは、危機の時代における「安心できる指導者」として独自の支持を集めています。女性リーダーの台頭は、単なる多様性の象徴を超えて、政権の生き残りを賭けた実利的な戦略として位置づけられています。