スプレー剤を取り巻く最大の争点となってきたのが、空気中に噴霧する「空間除菌」の是非だ。厚生労働省などの行政機関は、人がいる空間への噴射について吸入毒性の懸念や効果の不確実性を理由に推奨していない。浮遊する病原体へ作用する前に床へ落下したり、濃度が薄まりすぎたりする課題があるためだ。
一方で、密閉空間や環境衛生技術の領域では新たなアプローチが模索されている。北里大学をはじめとする研究機関では、気体状の低濃度塩素成分や制御された微細ミストが持つ抗ウイルス効果の基礎研究が継続されてきた。さらにパナソニックホールディングスなどの大手電機メーカーは、独自のデバイス技術を用いて次亜塩素酸を安全に制御・放散する空間清浄機器を実用化している。手動スプレーでの安易な空間噴霧と、高度に制御されたテクノロジーによる空気浄化は明確に切り離して捉えるべきだ。