「薄めて100円均一のスプレーボトルに入れれば手軽に除菌できる」と考え、市販の塩素系漂白剤を自作スプレー化するケースが後を絶ちません。しかし、大手化学メーカー各社はハイター類のスプレー容器への詰め替えを一貫して禁止しています。
禁止される背景には、噴霧による吸入毒性だけでなく、スプレー器具そのものの物理的・化学的トラブルがあります。
第1の理由は、エアロゾル(霧状粒子)の無意識な吸入です。トリガーを引いた瞬間に目に見えない微粒子が周囲へ拡散し、作業者本人のみならず同室の乳幼児やペットが塩素ガス混じりのミストを吸い込む事故が多発しています。
第2の理由は、ボトルの材質劣化と破裂・液漏れリスクです。一般的な100円ショップのスプレーボトルに多用されるPET(ポリエチレンテレフタレート)素材は、強アルカリと塩素の酸化力に耐えられず、短期間で白濁・硬化し、亀裂が生じます。万が一、加圧時に容器が破損した場合、高濃度の塩素液が手や衣服、眼に飛散する危険があります。
どうしても専用の薬液を詰める必要がある場合は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)製で遮光性(不透明)を備えた耐塩素仕様のボトルを選ぶのが技術的な前提条件です。ただし、家庭で漂白剤を薄めてスプレー化する行為そのものが安全基準から逸脱している点を認識しなければなりません。
市販されている「泡タイプの塩素系クリーナー」などは、液が霧状に飛散せず対象物へ密着するよう特殊なノズル構造が施されています。一般的なスプレー容器へ汎用漂白剤を詰め替える行為とは構造的にも安全性の上でも別物です。