従来のコンサートフィルムといえば、会場の熱気をそのままパッケージングする手法が主流だった。だが、彼らが選んだアプローチは根本から異なる。「白いラウンジ」という抽象的な空間設定。白を基調としたドレスコード。ミュージカルや演劇の要素を大胆に取り入れ、音楽と芝居の境界線を完全に消し去った。
ステージ上で発せられる音は、単なる演奏ではない。登場人物たちの心の叫びであり、セリフそのものだ。映画館の巨大なスクリーンと精緻な音響設計によって、観客はアリーナの最後列よりも濃密に、アーティストの内面に触れることになる。