秋吉久美子の濡れ場を語るうえで絶対に外せない作品が、1982年公開の柳町光男監督作『さらば愛しき大地』です。鹿島臨海工業地帯の寒々しい風景を背景に、覚醒剤に溺れ破滅へと向かうダンプ運転手(三浦友和)と、彼に寄り添い泥沼に堕ちていく女・順子(秋吉久美子)の破滅愛を描いた骨太な人間ドラマです。
本作における濡れ場は、青春時代の瑞々しさとは対極にある、凄惨な情念と狂気に満ちています。三浦友和との激しい情交シーンは、薬物に蝕まれた男女の破滅的な結びつきを表現した極めて過酷な撮影でした。
この名シーンの真相について、後に秋吉久美子は「綺麗に見せるためのベッドシーンではなく、人間のどうしようもない業や痛みを曝け出す作業だった」と述懐しています。一切の妥協を排した迫真の演技は映画賞レースでも絶賛され、彼女の圧倒的な表現力を天下に知らしめる決定打となりました。