物語の主人公は、小学4年生の少女・佐伯章子(あきこ)。10歳の誕生日に、彼女のもとへ差出人不明の不思議な手紙が届くところから運命の歯車が回り始めます。そこには「こんにちは、章子。わたしは二十年後のあなた、三十歳の章子です」と綴られていました。30歳の自分は幸せに暮らしているという言葉を信じ、章子は手紙とのやり取りを心の拠り所にするようになります。
しかし、現実の生活は過酷を極めていきます。最愛の父親が病死したことをきっかけに、母・千恵子は精神のバランスを崩し、やがて家に転がり込んできた暴力的な男によって、章子は壮絶な家庭内暴力や性的虐待、ネグレクトに晒されることになります。
学校でも逃げ場はなく、章子の唯一の親友であった小川亜里紗(ありさ)はクラス内で陰惨ないじめの標的となり、痛ましい悲劇へと追い込まれていきます。さらに亜里紗の兄である真実(まひと)など、過酷な境遇に抗う登場人物たちが交錯しながら、物語は息もつかせぬサスペンスと人間ドラマを紡ぎ出していきます。