一方、弟の眞栄田郷敦は、役柄ごとに憑依するような圧倒的なリアリティと表現力で日本映画界に衝撃を与え続けている。実写映画『ゴールデンカムイ』における孤高のスナイパー・尾形百之助役は、その最たる例だ。銃の構え方から冷徹な眼光の奥に潜む狂気までを緻密に計算し尽くした演技は、原作ファンのみならず批評家たちをも唸らせた。
サックス奏者を目指していた音楽的なバックボーンから来るリズム感と、役作りのために体重を10キロ単位で増減させる徹底したプロ意識。派手な立ち回りだけではない、静けさの中に激情を宿す郷敦の芝居は、作品に確固たる説得力を与える。映画やドラマの現場スタッフの間でも「今もっともオファーしたい実力派」として名前が挙がり続ける理由は、その妥協なき現場姿勢にある。