2019年、沢城千春が設立間もない事務所ステイルックへの移籍を発表した際、業界内には驚きと納得の双方が広がりました。声優界のレジェンドであり、自身もプレイヤーとして挑戦を続ける浪川大輔が立ち上げた同社は、個々のタレントの自主性を極めて重んじる気風を持っています。
この移籍によって加速したのが、彼が主宰するバンド「Street Story」の本格展開です。声優が音楽活動を行う場合、レコード会社主導のソロアーティストデビューか、出演作品のキャラクターソング展開が通例です。しかし、千春氏が選んだのは、自らギターを抱え、泥臭いライブハウスからスタートする生粋のパンクロックバンドでした。
ストレートで疾走感のあるメロディと、背伸びをしない等身大の言葉で綴られた歌詞は、声優ファンの枠を超えてインディーズロックシーンからも注目を集めました。「声優が片手間でやっているバンドではない」という気迫がステージから伝わることで、彼の表現者としての厚みは一層増すこととなりました。