過去には、一部の週刊誌が「元少年A」の実名や顔写真を掲載し、大きな議論を呼んだ。少年法61条が定める報道規制の限界に挑む形となったこれらの報道に対し、司法はプライバシー侵害を認め、賠償金の支払いを命じる判決を下してきた。メディア側は「重大事件の犯人の現状を知らせることは公共の利害に関わる」と主張したが、法は更生の機会を守る立場を崩さなかった。
しかし、現在の主戦場は既存メディアから個人のSNSへと移っている。法的な抑止力が及びにくい匿名アカウントによる拡散は、かつての週刊誌報道とは比較にならないスピードと規模で広がる。規制の網をかいくぐる個人をどうコントロールするのか、法制度は今も明確な答えを出せていない。