ご飯が炊き上がった後の工程には、食品科学に基づいた明確なルールが存在します。炊き上がったご飯は蒸らし時間を通常より短めの5分程度にし、必ず熱々の状態ですし桶または大きめのボウルに移します。米が冷えるとデンプンが老化(再結晶化)を始め、合わせ酢を内部まで均一に吸収できなくなるためです。
合わせ酢を回しかける際は、しゃもじを伝わせるようにして全体へ満遍なく行き渡らせます。ここからの混ぜ方が最大の勝負どころです。
- 第1ステップ(切るようにほぐす):しゃもじの刃を垂直に立て、「一」の字や「八」の字を素早く描くようにしてご飯の塊をほぐします。絶対にしゃもじを寝かせてご飯を押し潰してはいけません。米粒の表面にある細胞膜が破壊され、粘り成分が流出してベタつきの原因となります。
- 第2ステップ(底から返す):全体に酢が回ったら、底にあるご飯を大きくすくい上げて上下を入れ替えます。この動作を2〜3回繰り返します。
- 第3ステップ(急速冷却でツヤを固定):混ぜ終わったらすぐにご飯を平らに広げ、うちわや扇風機の風を一気に当てて冷まします。水分を急速に蒸発させることで米の表面に薄いデンプンの膜が形成され、料亭のシャリのような美しい光沢と弾力感が生まれます。