「印鑑証明を他人に頼むのだから、当然実印を押した委任状が必要だろう」と考える人は多いはずです。しかし、結論から言えば、各自治体の市役所や区役所窓口で印鑑証明書を代理取得する際、委任状は原則として一切不要です。
この運用を可能にしている法的な根拠が、各自治体の印鑑登録条例に定められた「印鑑登録証(または印鑑登録カード)」の携帯規定です。自治体の窓口実務において、プラスチック製や手帳型の印鑑登録証は「所持していること自体が正当な権限の委任を受けている証」として法的にみなされます。そのため、委任状を持参しなくても、手元に印鑑登録証さえあれば代理人であっても問題なく交付手続きを進められます。
ただし、誰でも簡単に取得できるわけではありません。窓口では不正取得を防止するため、厳格な入力照合が行われます。代理人が交付申請書に記入する際、本人の氏名・住所・生年月日の3点が住民票の登録情報と完全に一致していることが絶対条件となります。仮に番地や部屋番号を書き間違えたり、旧姓のまま申請したりした場合、登録カードがあっても交付は即座に拒否されます。委任状が不要だからこそ、本人の正確な個人情報の把握が代理人に厳格に求められます。