検索窓に「磐船神社」と打ち込むと、サジェストに「危険」「事故」といった不穏なワードが並びます。こうした噂が広まった背景には、ここが一般的な観光鍾乳洞のような手すりや遊歩道、照明設備が整った場所ではなく、巨石が自然に積み重なってできた暗黒の岩隙を自らの手足だけで進む「修験道の行場」であるという事実があります。
岩窟内は昼間でも光が届かない場所が多く、足元には天野川の支流が激しく流れています。湿った岩肌は非常に滑りやすく、大人がやっとすり抜けられるほどの狭隘な隙間を這いつくばって進む箇所も少なくありません。過去には注意散漫や不適切な履物による滑落、打撲、骨折といった事故が実際に報告されており、神社側は安全確保のために極めて厳しい拝観規則を設けています。
民俗学的な観点から見れば、この岩窟めぐりは「胎内くぐり」と呼ばれる擬似的な死と再生の儀式です。暗く険しい母胎(岩窟)を通り抜けて再び陽の光を浴びることで、過去の罪穢れを祓い清め、新しい命として生まれ変わるという信仰が息づいています。「命がけ」と形容されるのは、恐怖心と対峙しながら一歩一歩慎重に身体を運ぶプロセスそのものが、自己の精神を研ぎ澄ます修行であるからに他なりません。