大槌町「風の電話」誕生秘話と現在|震災から15年、繋がる心の声

大槌町「風の電話」誕生秘話と現在|震災から15年、繋がる心の声

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海風が吹き抜ける大槌町浪板の庭園「ベルガーディア鯨山」。その敷地に「風の電話」が誕生したのは、東日本大震災の前年である2010年のことでした。設置したのは、この庭園を管理するガーデンデザイナーの佐々木格(ささき・いたる)さんです。

佐々木さんが電話ボックスを設けた当初の理由は、急逝した従兄弟ともう一度言葉を交わしたいという個人的な想いからでした。電線では声が届かないからこそ、「想いを風に乗せて伝えよう」と考え、古い公衆電話ボックスを手に入れて庭の一角に設置したのが始まりです。

しかし、完成直後の2011年3月11日、東日本大震災が発生。大槌町は沿岸部を壊滅的な大津波が襲い、町民の1割以上が亡くなるか行方不明となる激甚な被害に見舞われました。あまりにも突然に大切な人を奪われ、最後の別れすら告げられなかった人々が町に溢れるなか、佐々木さんはこの場所を一般の人々に向けて開放することを決断します。傷ついた人々の心に寄り添う「風の電話」の歴史は、こうして静かに動き出しました。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。