かつては忌み嫌われる一方だった訳あり物件だが、近年はひとつの「コンテンツ」として社会に定着しつつある。そのムーブメントの立役者となったのが、「事故物件住みます芸人」として活動する松原タニシ氏だ。彼が自ら訳あり部屋を渡り歩いた壮絶な実体験を綴った著書はベストセラーとなり、映画化へと発展。主演を亀梨和也氏が務めたホラー映画『事故物件 恐い間取り』は大ヒットを記録し、世間の事故物件に対する視線を一気に変貌させた。
現在、こうした作品はNetflixやAmazon Prime Videoなどの大手動画配信サービスを通じて世界中に配信され、若者を中心に「恐怖」と「好奇心」が同居する独自のサブカルチャーを形成している。かつては徹底的にタブー視されていた空間がエンタメの文脈で消費されるようになった結果、若年層の間では「家賃が圧倒的に安いならまったく気にしない」という合理的でドライな割り切った選択をする借り手も確実に増えている。