扉を開けた瞬間に鼻腔をくすぐる香ばしい肉の香り。洋食ひいき屋を訪れる客の多くが注文するのが、看板メニューである特製の「手ごねハンバーグ」だ。鉄板の上で弾ける音を立てながら運ばれてくる一皿は、まさに五感を刺激する芸術品といえる。
厨房を守る料理長は、挽き肉の粗さや赤身と脂身の比率、毎日の気温・湿度に応じた手ごねの回数にまでミリ単位のこだわりを見せる。「ナイフを入れた瞬間にあふれ出る肉汁は、肉の部位ごとの特性を計算し尽くして初めて生まれる」と語る通り、口に含んだ瞬間の旨味の凝縮感は圧倒的だ。表面は香ばしく焼き上げられ、中はふっくらとジューシー。秘伝のデミグラスソースのコクが肉の甘みを最大限に引き立てる。