スポーツ医学や運動生理学の分野では、大谷の身体的特徴を「クロスドミナンス(交差優位)」という概念で説明することが多い。これは、動作や用途によって使い分ける優位手・優位足が左右で入れ替わる現象を指す。投球という繊細かつ爆発的な出力を要する動作には右手を用い、空間認識とインパクトの軸が重要となる打撃には左打席を採用するパターンだ。
MLB(メジャーリーグベースボール)の舞台で年間数十本のホームランを放つ凄まじいバットスピードは、利き腕である右腕でバットを力強く引き込み、左腕で押し出す完璧な力学の融合から生まれる。クロスドミナンスを持つアスリートは空間把握能力に長け、左右の脳の連携がスムーズであるとされるが、大谷の圧倒的な対応力もこの神経系の柔軟性と無縁ではない。