この前代未聞のファイナンシャル・ストラクチャーを法的に具現化したのが、辣腕代理人として知られるネズ・バレロと、彼が所属する巨大エージェンシーのCAAスポーツである。労使協定の条文を徹底的に洗い出し、後払い額に一切の上限が設けられていない抜け穴を突いた。
「チームの勝利のために、使える資金を最大限に残してほしい」という大谷本人の強い意向を、ネズ・バレロは完璧な契約条項へと落とし込んだ。交渉プロセスは徹底した機密保持のもとで進められ、他球団に対しても同様の条件提示を求めるなど、CAAスポーツの冷徹な交渉手腕が球団側に主導権を渡さなかった。