大久保嘉人氏と妻・莉瑛さんの出会いは、劇的かつ運命的なものでした。莉瑛さんは大久保氏と同い年(1982年度生まれ)で、大久保氏の出身校であり高校サッカー界の絶対王者として君臨した長崎県立国見高校サッカー部の恩師・林義規(よしのり)先生の長女です。林先生は名将・小嶺忠敏監督の右腕として同校を指導し、大久保氏にとってはサッカーのみならず人間形成の基礎を叩き込まれた大恩人でした。
福岡県出身の大久保氏は、親元を離れて国見高校に進学した際、林先生の自宅に下宿していました。つまり、高校時代の大久保氏と莉瑛さんは、一つ屋根の下で生活を共にする「下宿生と恩師の娘」という関係からスタートしたのです。当時の大久保氏はサッカー漬けの毎日を送っており、恋愛関係に発展することはありませんでしたが、互いに気心の知れた幼馴染のような特別な距離感を育んでいました。
高校卒業後、大久保氏はセレッソ大阪へ加入しプロの道へ進みます。その後、2001年に恩師である林義規先生が急逝されるという悲劇に見舞われました。悲しみに暮れる林家を気にかける中で莉瑛さんとの連絡が再開し、次第に互いをかけがえのない存在として意識するようになります。交際へと発展した二人は愛を育み、2004年12月、大久保氏がスペインのマジョルカへ移籍する直前に婚姻届を提出。恩師が遺した大切な愛娘と共に、大久保氏は世界最高峰のリーグへ挑戦する旅路へと踏み出しました。