発売から40年以上が経過した現在でも、レコード店のアナログ盤コーナーや主要サブスクリプションサービスのカタログにおいて、本作は異例のロングセラーを維持しています。単なる懐古趣味(ノスタルジー)として消費されているわけではありません。アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国のDJや若年層リスナーが、本作を「20世紀ポピュラー音楽における録音芸術の極致」として熱烈に支持している事実が、客観的な再生データからも浮き彫りになっています。
日本のシティポップ名盤の象徴として山下達郎や竹内まりやの作品群とともに語られる機会が多いものの、音楽評論家の間におけるロンバケ アルバム 評価は一線を画しています。本作が描くのは、享楽的なリゾートライフそのものではなく、「すでに過ぎ去ってしまった美しい季節への追憶」という極めて普遍的な孤独の情景です。この特異な心象風景こそが、激動の現代社会を生きる国内外の若い世代の心に深く刺さる要因となっています。
音楽プロデューサー陣の証言を辿ると、本作は日本の歌謡曲が持っていたセンチメンタリズムと、1960年代のアメリカン・ポップス(特にフィル・スペクターやビーチ・ボーイズ)が持っていた重厚な音響構築を、世界で最も高次元に融合させた実験作でした。商業的な大成功を収めながら、構造そのものは極めてアヴァンギャルドなスタジオワークの結晶であるという二面性が、時代を経ても色褪せない最大の推進力です。