スタートアップの台頭とITバブルの余波を生々しく切り取ったのが、『リッチマン、プアウーマン』だ。小栗旬が体現した日向徹という青年実業家は、スティーブ・ジョブズを彷彿とさせる傲慢さと、子供のような脆さを併せ持つ特異なキャラクターだった。
フジテレビの月9枠といえば王道の恋愛劇が主戦場だったが、本作はテックビジネスの過酷な現実とUI/UXへの執念を物語の主軸に据えた。石原さとみ演じるヒロインとの関係性も、単なる甘いロマンスではなく、互いの存在理由を問い直すビジネスパートナーシップとして描かれた点が斬新だった。時代が求める「新しいリーダー像」を先取りした小栗旬の鬼気迫る佇まいは、今見返しても刺激的だ。