インターネットの法律相談やSNS上では、「相手の親公認なら何をしても問題ない」「18歳成人に引き下げられたから高校3年生なら完全に合法」といった危険な俗説が散見されます。しかし、これらの解釈は法学的に重大な誤りを含んでいます。
「親の承諾」があっても条例違反は免責されない
多くの人が見落としているのは、未成年と付き合う際に親の承諾があれば刑事責任を免れるという誤解です。青少年健全育成条例が保護しようとしているのは、親の感情や個々の家庭のルールではなく、「社会全体における青少年の健全な心身の育成」という公益です。最高裁判所の判例においても、保護者の同意があるからといって直ちに淫行罪の違法性が阻却されるわけではないと明確に示されています。
親が「交際を認めている」と言っていても、密室で性行為が行われれば条例違反の構成要件を満たし得ます。さらに、親が「交際は認めたが、高校生のうちからホテルへ行ったり宿泊させたりすることは許していない」と証言した瞬間、大人の側は一転して未成年者誘拐罪や淫行処罰の標的となります。
善意の「自宅保護」が未成年者誘拐罪に問われるパラドックス
実務上、最も逮捕事例が多い落とし穴が「家出少女・少年の保護」です。「親から虐待を受けている」「家に居場所がない」と未成年から相談され、善意と同情心から自宅に泊めた社会人が、翌朝駆けつけた警察官に未成年者誘拐罪の現行犯で逮捕されるケースが後を絶ちません。
刑法における未成年者誘拐罪は、親(監護者)の管理監督権を奪うことによって成立します。未成年者本人が「帰りたくない」「泊めてほしい」と懇願し、無理やり連れ去ったわけではなくても、親の承諾なく自己の支配下に置いた事実があれば誘拐が成立します。未成年を守る唯一の法的に正しい行動は、私的に匿うことではなく、児童相談所や警察に速やかに連絡することです。