大勝軒の味の根幹は、豚骨・豚足をベースに、鶏ガラ、煮干し、サバ節、香味野菜を寸胴で惜しみなく炊き上げた濃厚かつ澄んだ清湯にあります。しかし、最大の特徴は仕上げに投入される調味ダレにありました。
濃口醤油・白砂糖・酢・一味唐辛子・胡椒を黄金比でブレンドし、口に含んだ瞬間に「甘み」「酸味」「旨味」「辛味」が複層的に押し寄せる構造を作りました。現在主流となっている超濃厚魚介豚骨つけ麺とは異なり、毎日食べても飽きがこない後味の軽やかさと、動物系のどっしりとしたコクが同居していたのです。
また、山岸は自ら開発したレシピを門外不出の秘伝として抱え込むことは一切しませんでした。「聞きに来る奴には誰にでも教える」「味は隠すものじゃなく、客に喜んでもらうもの」と公言し、修行希望者だけでなく同業他社にもスープの配合や麺の配合比率を気前よく公開。このオープンソース的な懐の深さこそが、ラーメン業界全体のレベル底上げに寄与した最大の要因でした。