今日、日本全国津々浦々で親しまれている回転寿司のルーツを辿ると、一人の男のひらめきに行き当たる。元祖とされる立ち喰い寿司店主の白石義明が、アサヒビールの工場見学でベルトコンベアを目にしたことから、この巨大な産業の歯車は回り始めた。人手不足の解消と「誰もが気軽に寿司腹いっぱい食べられるように」という純粋な情熱が、コンベア開発という途方もない挑戦へと結実したのだ。
日本回転寿司協会などの資料を紐解くまでもなく、昭和の高度経済成長期に花開いたこの発明は、高級食だった寿司を瞬く間に国民食へと押し上げた。その奔流のなかで、首都圏の下町を中心に独自の進化を遂げてきたのが株式会社元祖寿司だ。効率一辺倒の機械化にすべてを委ねるのではなく、職人がカウンターの内側に立ち続けるスタイルを堅持した。それは利便性と大衆的な人情味の絶妙なバランスだった。