感覚的な疑惑を統計学の力で科学的に証明し、世界中に衝撃を与えたのが、アメリカの経済学者スティーヴン・レヴィットらによる著書『ヤバい経済学(Freakonomics)』の研究データです。
研究チームは1989年から2000年までの大相撲幕内・十両の取組データ(約3万番以上)を徹底的に分析しました。注目したのは、千秋楽(15日目)の時点で「7勝7敗(あと1勝で勝ち越し)」の力士と、「8勝6敗(すでに勝ち越し決定)」の力士が対戦した勝率です。
通常の実力差から考えれば互角のはずですが、統計データが示した数値は驚愕のものでした。
本来の期待勝率が50%前後であるのに対し、7勝7敗の力士の勝率は約80%にまで異常跳ね上がっていたのです。さらに決定的だったのは、その翌場所で同じ顔合わせになった際、前回勝たせてもらった力士の勝率が約40%前後にまで急落していた点です。これは「千秋楽で星を借り、次の場所で星を返す」という貸し借り関係が数字の上で完全に裏付けられた瞬間でした。