年収ランキングのデータを消費する際、一般読者が陥りがちな「3つの大きな誤解」が存在します。
第1の誤解は、「大手企業就職率と出身大学評判がそのまま高年収を保証するわけではない」という点です。例えば、有名女子大学や中堅私立大学の中には、大手金融機関や大手航空会社への就職実績を前面に押し出しているところが多く見られます。しかし、その内訳を詳細に確認すると、転勤のない「エリア総合職」や「一般職」が半数以上を占めているケースがあります。一般職の平均年収は30代で400万〜500万円前後に留まるため、大手就職率の高さが必ずしも高年収に結びついているとは限りません。
第2の誤解は、「公務員比率が高い大学は年収ランキングで見劣りする」という構造的トラップです。東京学芸大学や金沢大学、あるいは京都大学の法学部・教育学部など、教員や国家・地方公務員を大量に輩出する大学・学部は、有価証券報告書ベースの企業年収集計から除外されるか、民間平均値を押し下げる要因になります。公務員は年収1,500万円といった突出した数字には届かないものの、手厚い福利厚生、年金制度、退職金を合算した生涯実質可処分所得では、中堅民間企業を大幅に凌駕します。
第3の誤解は、「スタートアップやメガベンチャーの初任給インフレ=生涯高年収」という安直な図式です。昨今、サイバーエージェントやDeNAなどのIT大手、新興AIスタートアップが新卒初任給40万〜50万円(年俸制)を掲げて優秀層を惹きつけています。しかし、これらの企業は退職金制度が存在しなかったり、業績連動賞与の変動が極めて激しかったりするため、40代・50代まで安定して高年収を維持できるかは個人のサバイバル能力に依存します。