ネット上では「大学進学率が低い県は教育熱が低く、文化的に立ち遅れている」といった短絡的な言説が散見されます。しかし、社会学・労働経済学の視点から現場を精査すると、この見方は重大な誤認であることが分かります。
進学率が下位に位置する地域では、地元産業や行政が「高卒採用」を極めて手厚く保護・育成してきた歴史があります。例えば、地方優良メーカー、電力・鉄道などのインフラ企業、警察官・消防士・地方公務員などの採用枠において、高卒枠は都市部と比べて圧倒的に強固な就職ルートとして機能してきました。
また、看護・理学療法・ITなどの専門学校進学率を合算した高等教育機関数値を見ると、地方県の進学熱は決して低くありません。「多額の借金(奨学金)を背負って首都圏の中堅・下位私大を卒業しても、地元に戻れば大卒の初任給プレミアムは極めて小さい」という経済合理性に基づき、高卒優良就職や専門資格取得を戦略的に選択する家庭が多いことも、データが語るもう一つの真実です。
【プロの結論】構造的格差に立ち向かう進路判断基準|誰が進学すべきか
教育社会学および現代のキャリア形成の観点から導き出される、進路選択の明確な判断基準は以下の通りです。
▼首都圏・都市部の四年制大学へ無理してでも挑戦すべき人:
研究施設や高度な人的ネットワークが東京に集中している分野(先端情報科学、グローバルビジネス、メディア、最先端アートなど)を志す人。また、将来的に全国規模のメガベンチャーや外資系企業への就職を目指し、在学中からインターンシップや多種多様なコミュニティに没入したい明確な目的意識がある人。
▼安易な上京進学を避け、地元国公立や専門職教育を選択すべき人:
「みんなが大学に行くから」「なんとなく東京で暮らしてみたいから」という曖昧な動機で、多額の有利子奨学金や家族への無理な仕送り負担を前提としている人。資格直結型職種(医療系・福祉系・高度技能職)や地元インフラ・公務員を目指す場合、地方国公立や地元専門教育機関で早期に確実なキャリア基盤を築く方が、生涯の手取り可処分所得や精神的自立の面で圧倒的に有利になります。