移り変わりの激しい日本の芸能界において、何年ものあいだ公の場に姿を見せていないアーティストが、これほどまでに渇望され続ける例は極めて珍しい。その理由は明快だ。彼がJ-POPシーンに残したボーカルワークとダンスパフォーマンスのクオリティが、今なお他の追随を許さない高みに達しているからである。
芯のある澄んだ美声、完璧なリズム感、そして重力を感じさせないステップ。嵐の楽曲が持つ親しみやすさの裏には、大野智という職人気質のパフォーマーが担保する絶対的な技術的支柱が存在していた。彼の不在によって、逆説的にその表現者としての偉大さが際立っている。