「大義名分」という四字熟語は、古代中国の儒教思想、特に『春秋左氏伝』や朱子学の論理体系に深く根ざしています。この言葉は「大義」と「名分」という2つの独立した重要概念が合体して成立しました。
「大義」とは、人として、あるいは臣民として守るべき最も重要で普遍的な道義・正義を意味します。一方の「名分」とは、社会的な身分や地位(名)に応じて果たさなければならない義務や分限(分)のことです。つまり、「それぞれの立場にふさわしい義務を果たし、社会的・倫理的な正義に従って行動すること」が本来の原義にあたります。
日本においては、江戸時代後期の水戸学や幕末の志士たちによって「尊皇攘夷」という強力なスローガンとともに盛んに用いられました。「なぜ幕政を改革しなければならないのか」という巨大な変革の動機付けとして、個人の利害を超えた絶対的な正当性を主張するために大義名分が掲げられたのです。