警察官の採用ルートにおいて、高卒区分(Ⅲ類・B区分等)と大卒区分(Ⅰ類・A区分等)の間には、初任給だけでなく昇任スピードと生涯賃金において決定的な構造格差が存在します。
警察組織における最初の昇任試験である「巡査部長昇任試験」の受験資格を見てみましょう。大卒警察官は警察学校卒業後の実務経験わずか2年で受験可能となりますが、短大卒は3年、高卒区分は実務経験4年を待たなければ受験資格を得られません。さらにその上の警部補試験においても、大卒は巡査部長拝命後2年で受験できるのに対し、高卒は3年を要します。
この「2年間のタイムラグ」が20代後半から30代前半にかけて複利のように作用し、階級の差、ひいては基本給と役職手当の大きな開きへと直結します。
定年退職(現行の60歳から段階的に65歳へ引き上げ中)までの総収入を試算した大卒警察官の生涯年収シミュレーションでは、順調に昇任を重ねた大卒警察官の生涯賃金は約2億8,000万〜3億3,000万円に達します。これに対し、高卒警察官の平均的な生涯賃金は約2億4,000万〜2億8,000万円前後にとどまる傾向があり、その生涯給料格差は約4,000万〜6,000万円に及ぶ試算となります。
さらに見逃せないのが退職手当の存在です。大卒警察官の退職金相場は、定年まで勤め上げた場合で約2,000万〜2,400万円程度が支給されます。警視以上の幹部で退職を迎えた場合は2,500万円を超えるケースもあり、手厚い公務員年金と合わせて老後の資金基盤は極めて強固です。