チケット一般発売や直前先行で販売される「注釈付き指定席」「機材解放席」「ステージサイド見切れ席」。文字通り「ステージが見切れる席」として通常の指定席より安価、あるいは落選救済枠として用意される座席ですが、その実態は公演ごとに極端なコントラストを描きます。
代々木第一体育館見切れ席の評判と真相を総括すると、代々木ならではの建築形状が奇跡を生みやすい土壌を持っています。細長い楕円の端部にメインステージが配置される性質上、北スタンド・南スタンドの最もステージ寄りの端席(原宿口側ステージなら1〜3ブロック周辺、渋谷口側ならその逆)は、ステージの真横、あるいはやや斜め後ろから見下ろすアングルになります。
この位置は、メインステージ奥の大型ビジョンや正面背景の美術セットは全く見えません。音響スピーカーの裏側になることで、高音域が籠もって聞こえるケースもあります。これがいわゆる「見切れのデメリット」です。
しかし、近年のライブ演出においてサイドデッキ(ステージ両翼へ伸びる花道)が設けられている場合、アーティストが舞台袖ギリギリまで手を振りに駆け込んでくる瞬間があります。その時、アリーナ中央や一般的なスタンド指定席よりも遥かに近い、わずか5〜10メートル程度の距離感でアーティストが目の前で立ち止まる事態が発生します。「正面の演出は捨てたが、生身の表情をこれほど間近で浴びられるとは思わなかった」という声が終演後のSNSに溢れ返る背景には、代々木のステージ横スタンド席の極端な距離の近さというカラクリがあるのです。