アニメ版『ダイヤのA』において、御幸一也というキャラクターに命を吹き込んだ声優・櫻井孝宏の功績は計り知れない。普段の軽妙でどこか食えないトーンから、試合中の真剣な低音ボイスへの切り替えは、御幸の二面性と魅力を完璧に表現している。
TV東京での放送当時、原作者の寺嶋裕二が描く原作コミックスの繊細な表情変化と、アニメーションスタッフによる緊迫した試合展開の作画、そして櫻井の迫真の演技が見事に重なり合ったエピソードは、ファンの間でも「神回」として語り継がれている。配球に悩む一瞬の間や、ピッチャーへかける短い一言に含まれる微妙な感情の揺れは、声優の表現力があってこそ完成されたものだ。
アニメ・漫画業界におけるスポーツアニメ作品の中でも、声と映像がこれほど高次元で融合し、キャラクターの魅力を底上げした例は少ない。作画のダイナミズムと声の演技が相乗効果を生み出し、画面越しに球場の熱気と緊張感をダイレクトに届けている。