誕生花一覧と花言葉の全真相|複数存在する理由と失敗しないギフト術

誕生花一覧と花言葉の全真相|複数存在する理由と失敗しないギフト術

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誕生花を調べた際に生じる最大の疑問が、「誰が、どのような基準で決めているのか」という選定の根拠です。結論から言えば、誕生花を統括・認定する公的な国際機関や国家機関は一切存在しません。現在私たちが目にする誕生花は、長い歴史の中で積み重なった宗教的儀式、民間伝承、そして近代の商業的アプローチがモザイク状に入り混じった結果です。

誕生花の起源と歴史の経緯を遡ると、そのルーツは古代ギリシャ・ローマ時代にまで行き着きます。当時の人々は「日々の時間や自然界の草木には神が宿る」と信じており、暦の各日に特定の神とそれに結びつく植物を配した「花暦(はなごよみ)」を作成していました。さらに中世ヨーロッパにおいて、キリスト教の聖人たちを称える記念日(聖名祝日)に特定の修道院の庭に咲く花を捧げる典礼習慣が定着し、これが誕生花の原型になったと植物文化史の文献には記録されています。

しかし、決定的な分岐点となったのは19世紀のビクトリア朝イギリスでした。当時、感情を直接言葉にすることが厳格に制限されていた上流階級社会において、花に感情を託して秘密裏に意思疎通を図る暗号文化「セラム(Floriography)」が爆発的な流行を見せます。この流行が世界中へ波及する過程で、国や流派による誕生花の違いが決定的なものとなりました。

例えば、ヨーロッパと日本とでは自生する植物の植生や四季の開花時期が数ヶ月単位でずれるという物理的な問題が生じます。地中海沿岸では早春に咲く花が、冷涼な日本の山間部では初夏にしか手に入らないといった事態が頻発したためです。昭和中期以降、日本の園芸普及団体や大手生花店である日比谷花壇誕生花の選定リスト、日本生花通信配達協会(現在のJFTD花キューピット)などの流通各社、さらには女性誌の出版社が、日本の気候や流通事情に合わせて「366日誕生花一覧」をそれぞれ独自に再編纂しました。これが、媒体によって掲載される花が全く異なる最大の構造的理由です。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。