近年の出演作を語る上で欠かせないのが、映画『窓辺にて』で見せた繊細極まる佇まいと、映画『正欲』における圧倒的なリアリティだ。日本映画界において、これほどまでに「言葉にできない感情」をたたえた眼差しを体現できる俳優は稀有である。『窓辺にて』で演じたフリーライターのどこか諦念を抱えた日常、そして『正欲』での正義と偏見の狭間に立つ検察官の葛藤。どちらも観客に安易なカタルシスを与えない難役だった。
単なるヒューマンドラマの枠組みを軽やかに超え、観る者自身の倫理観を揺さぶる。過剰な感情表現を削ぎ落とし、沈黙や視線の微細な動きで語るその芝居は、国内外の映画ファンや評論家から極めて高い評価を獲得した。彼の存在そのものが、作品のリアリティを支える強固な背骨として機能している。