新潮文庫版でも広く親しまれている『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』は、東京大学教授(日本近現代史)の加藤陽子氏が、栄光学園の中高生たちに対して行った5日間の集中講義を完全再現した一冊です。小林秀雄賞を受賞するなど各界から絶賛を浴びた本作の最大の特徴は、単なる年号暗記の歴史ではなく、「当時の当事者たちが直面していたリアルな選択肢」を読者に追体験させる構成にあります。
本書が提示する日本近現代史のわかりやすい要約の核となるのは、日本が決して受動的に巻き込まれたのではなく、主体的な外交判断と軍事戦略の末に戦争を選び取ったという冷徹な事実です。日清戦争(1894年)から太平洋戦争(1941年)までの約半世紀にわたり、日本は4つの大きな戦争を経験しました。加藤氏は当時の外交文書や日記、条約の文言を徹底的に精査し、指導者層が何を恐れ、何を獲得しようとしていたのかを鮮やかに解き明かしています。