エンドロール後の数十秒間に、世界中の映画館が揺れた瞬間を覚えているだろうか。トレードマークの青いスーツと赤いマントを身にまとい、暗闇から姿を現したヘンリー・カヴィル演じるスーパーマン。あのカメオ出演は、ワーナー・ブラザース内部の激しい権力闘争の末にジョンソンが力づくで勝ち取った「クーデター」のようなものだったと、後に様々な業界誌が報じている。
しかし、その熱狂はあまりに短命だった。カヴィルがSNSで正式な復帰を宣言したわずか数週間後、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーはジェームズ・ガンのスタジオトップ就任を発表。既存のタイムラインを白紙に戻す決定が下され、約束されたはずの「ブラックアダム対スーパーマン」の世紀の対決は幻と消えた。ハリウッドの無情さをこれほど生々しく見せつけた事件は、近年の映画ビジネスにおいて他に類を見ない。