日本地図の礎を築いた伊能忠敬が歩測と天体観測で国土を記録してから200年以上が経過した。現代では、高精度な地理情報システム(GIS)が整備され、人工衛星やドローンによるセンチメートル単位のデジタル測量が当たり前となっている。
しかし、技術がどれほど進化しようとも、最終的な境界線を決定するのはコンピュータではなく人間の政治判断と合意形成だ。国内における土地の帰属問題は、ミクロな地政学の表れでもある。境界線を一本引くことが、周辺地域の権益や歴史的プライド、さらには将来の都市開発計画に不可欠な利害関係に大きな影響を与えるため、デジタル化が進んだ2026年の現在であっても「あえて境界を決めない」という選択が一種の平和維持装置として機能している側面もある。