もしもあのドラマ『孤独のグルメ』の主人公、井之頭五郎が大府市(愛知県)の駅前に降り立ったなら——。ふらりと暖簾をくぐり、一人黙々と箸を進める姿が容易に目に浮かぶ。変化を続ける外食・フードサービス産業において、大府の和食・ナゴヤメシは独自の進化を遂げている。
濃厚な赤味噌をベースにした伝統の味を守りつつ、出汁の引き方や隠し味に現代的なアプローチを加えた味噌カツや煮込みうどん。腹の底からジワリと込み上げる旨味の波に、思わず心の中で膝を打つ。気取らないのに奥深い。そんな質実剛健な食の姿が、変化の激しい現代社会で疲れた人々の心と胃袋を鷲掴みにしている。