岩崎の足跡を遡ると、幼少期から積み重なった感情の歪みが各所に垣間見える。小中学校時代の同級生たちは、彼の印象を「急にキレることがあるおとなしい子」「どこか影があった」と振り返る。親族の家で育つという境遇の中で、彼は常に「自分は正当に愛されていない」「居場所がない」という冷遇感を強めていた。
伯父夫妻も高齢化する中で彼とのコミュニケーションに苦慮しており、ドア越しに手紙をやり取りするような冷え切った関係が何年も続いていた。川崎市の福祉窓口や地域社会も、家庭内部の奥深くに潜む異変までを察知することはできなかった。孤立は誰にも気づかれないまま、何重もの壁となって彼を社会から遮断していったのだ。