登録販売者試験に晴れて合格したとしても、直ちに「完全な専門家」として独立して売り場を任せてもらえるわけではありません。ここに、多くの受験者が合格後に初めて直面する制度上の関門が存在します。それが「登録販売者の実務経験2年ルール」です。
薬機法関連規則により、試験に合格しただけの人材は名札に「登録販売者(研修中)」と表記することが義務付けられています。単独で医薬品売り場を管理し、店舗管理者としてシフトに入るためには、「過去5年間のうちに通算24ヶ月以上(かつ各月80時間以上、合計1,920時間以上)」の実務経験証明書が必要となります。
ドラッグストアチェーンの現場で働くスタッフの体験談やSNSコミュニティでの告白に耳を傾けると、この制度特有のシビアな葛藤が見えてきます。
「試験に受かって意気揚々とドラッグストアに転職したが、名札に『研修中』と書かれている間は、管理者の先輩が同じシフトに入っていないと薬の販売ができない。シフト作成の自由度が低く、最初は品出しやレジ打ちばかりで理想と現実のギャップに悩んだ」(20代後半・中途入社スタッフの手記より)
「パート勤務で週3日・1日5時間ペースだと、月80時間の基準を満たすのがギリギリ。家庭の事情でシフトを削ると月数がカウントされず、研修中が外れるまでに3年以上かかってしまった」(40代・主婦パートの証言)
なお、厚生労働省の規制改革によって2026年4月以降、要件緩和が実施されました。「過去5年間に月160時間以上勤務し、通算1年以上(合計1,920時間以上)従事し、追加研修を修了した場合」は、2年を待たずして店舗管理者になる道が開かれています。フルタイム勤務の正社員であれば最短1年で「研修中」を脱却できるようになり、現場のキャリアスピードは着実に加速しています。