お湯が出ない期間に発生した銭湯の利用代金や、ホテル宿泊費はどこまで請求できるのでしょうか。結論から言えば、給湯器故障銭湯代請求は法的に「債務不履行に基づく損害賠償」または「事務管理」の観点から請求の余地があるものの、無条件に認められるわけではありません。実務上は、管理会社から「近隣銭湯の領収書を保管しておけば、1日あたり上限○○円まで実費精算する」といった事前合意を取り付けておくことが決定的に重要です。事後になって高額な宿泊代の領収書を突きつけても、拒絶される可能性が極めて高くなります。
一方で、入居者の強い味方となるのが賃貸給湯器故障家賃減額の法制度です。改正民法第611条第1項により、賃借物の一部が使用不能となった場合、賃料は「減額請求できる」のではなく「当然に使用不能の割合に応じて減額される」と変更されました。国土交通省の指導や実務指針として活用される国土交通省標準契約書家賃減額ガイドライン(公益財団法人日本賃貸住宅管理協会策定の基準)では、設備不良時の具体的な減額水準が数値化されています。
ガイドラインでは、給湯器が完全に使えない場合の減額割合を「賃料の10%」、工事手配等の猶予期間として「免責日数3日」と定めています。例えば月額家賃10万円の物件で交換までに10日間かかった場合、免責3日を差し引いた7日分が減額対象となり、100,000円 × 10% × (7日 / 30日) ≒ 2,333円が翌月以降の賃料から相殺される計算になります。金額としては小さく感じるかもしれませんが、これは借主の正当な権利です。