日常会話では混同されがちな「失踪」と「家出」ですが、実務や法的な観点では明確に区別されます。家出は一般的に、本人が自らの意思で一時的に自宅を離れ、生活能力を保ちながらどこかに滞在している状態を指します。一方、失踪は、本人の意思にかかわらず事故や事件、突発的な精神的混乱などによって所在や生死が完全に分からなくなっている状態を含みます。
家族が警察署へ相談した際、行方不明者届に対する警察の対応は以下の2つの区分によって全く異なります。
1つ目は「一般行方不明者」です。成人(成人年齢18歳以上)が自らの意思で家を出た場合、民事不介入の原則により、警察が事件・事故の証拠なしに強制的な捜索や追跡を行うことはありません。パトロール中の職務質問や運転免許の更新時などに照合されるにとどまります。
2つ目は「特異行方不明者」です。遺書を残している、他人に危害を加えられた恐れがある、認知症の高齢者や幼い子どもで自力生活が困難であるなど、生命・身体に危険が迫っていると判断された場合が該当します。特異行方不明者に指定されると、警察は速やかに公開捜査の検討、防犯カメラの解析、携帯電話の位置情報追跡といった本格的な捜索活動を展開します。