「いや、雨だよ」——この短い一言にどれほどの感情が込められていたか。親友・ヒューズの葬儀後、墓前でリザ・ホークアイに語りかけるあの名場面は、両キャストの演技力の高さを証明する代表例だ。
大川透の「雨だよ」は、涙を隠す男のやさしさと諦念が滲む低音。一方、三木眞一郎の「雨だよ」は、絞り出すような悔しさと抑えきれない怒りが静かに混ざり合う。声優が異なるだけで、同じセリフがこれほどまでに異なる深みを持つという事実は、演技というアートの真髄を示している。
さらに、エンヴィーとの死闘で見せた狂気的なまでの復讐心。三木眞一郎の叫びにも似た演技は、視聴者の心を揺さぶり、ロイ・マスタングという男の人間臭さを極限まで引き出した。