ネット上の掲示板やSNSでは、毎年2月から4月にかけてライフラインの契約にまつわる悲痛な叫びが溢れかえります。大手引越し業者やインフラ関係者への取材から見えてくるのは、制度の電子化が進んだからこそ生じる「油断」の恐ろしさです。
都内のIT企業に勤務する20代男性は、自らの手記で次のような手痛い体験を語っています。「引越し当日の夕方、荷物を運び終えて汗を流そうとした瞬間、給湯器のリモコンにエラーコードが表示された。電気と水道は問題なく使えたため安心しきっていたが、ガスの開栓予約を完全に失念していた。慌てて大手ガス会社に電話したものの、『最短の空き枠は4日後』と告げられ、3月の寒空の下、コインシャワーと銭湯を探し回る悲惨な新生活スタートとなった」。ガス機器は安全弁が作動しているため、資格を持った係員が器具の型番確認と点火チェックを行わない限り、元栓を開いても湯は沸きません。
さらに見落とされがちなのが、電気ガス水道の解約手順を軽視したことによる金銭的損害です。知恵袋等のコミュニティでも頻繁に相談が寄せられる「退去したはずのアパートの光熱費が口座から引き落とされ続けている」という事象は、旧居の利用停止届を怠った典型例です。利用停止日を正しく設定しなければ、退去後にリフォーム業者やクリーニング業者が使用した水光熱費、さらには空室期間の基本料金までもが前入居者の口座へ請求され続けるという理不尽な事態を招きます。