ネット上では「キッチンカウンターやダイニングテーブルにアルミホイルを敷き詰めるだけで、簡単に立ち入り禁止エリアを作れる」というノウハウが広く共有されています。火気や刃物を扱うキッチンへの侵入防止や、人間の食事へのいたずら対策に悩む飼い主にとって、費用もかからず手軽な対策に見えるのは無理もありません。
しかし、動物行動診療科を専門とする獣医師たちの間では、こうした「嫌悪刺激(アバーシブ・メソッド)」を用いた環境制限に対して警鐘が鳴らされています。最大の問題は、一時的な撃退効果はあるものの、根本的な解決にならないどころか、重大な副作用を伴う点です。
アルミホイルを用いたテーブルのしつけにおいて、最も頻発する失敗例が「猫の学習と慣れ」です。知能の高い猫は、ホイルの隙間を見つけて器用に歩行する技術を身につけたり、前足で端をめくって床に落としてから目的の場所へ登るようになったりします。さらに深刻なケースでは、驚いて飛び退く際に足元の鍋や食器をひっくり返して火傷を負う二次災害や、パニック状態で滑って落下し、前肢の骨折や関節損傷を負う事故が動物病院に搬送されています。