実生活において言葉の混乱が起きやすい典型例が、「遺伝子検査」と「DNA鑑定」の使われ方です。どちらも血液や唾液などの生体サンプルを用いますが、分析するターゲットと目的は180度異なります。
【目的と分析領域の比較】
・遺伝子検査:特定の病気(がんや生活習慣病など)への罹患リスクや体質、薬の副作用の出やすさを調べる検査。タンパク質の機能に直結する「意味のある遺伝子領域の変異」を解析します。
・DNA鑑定:犯罪捜査での個人識別や、親子関係などの血縁確認を行う検査。タンパク質合成に関係のない「非コード領域にある塩基の繰り返し回数(個人差が極めて大きい部分)」を比較します。
DNA鑑定では、個人の健康状態や病気のリスクは分かりません。純粋に「指紋」のように個体を識別する符号としてDNAのパターンを利用しています。用途に応じた明確な住み分けがなされています。