Q1:DNAと染色体は、顕微鏡で見ることができますか?
A1:DNAの太さは約2ナノメートル(1ミリの50万分の1)であるため、通常の学校や研究室にある光学顕微鏡で見ることは不可能です(電子顕微鏡や特殊な装置が必要)。一方、染色体は細胞分裂期にDNAが数千倍から数万倍に凝縮するため、光学顕微鏡でもはっきりと観察することができます。学校の理科実験でタマネギの根の先端を染色して観察するのは「染色体」です。
Q2:染色体の数が多い生物ほど、人間より進化していて頭が良いのですか?
A2:全く関係ありません。生物の知性や複雑さと染色体の数は比例しません。例えば、ヒトの染色体数は46本ですが、チンパンジーは48本、イヌは78本、コイは100本以上、スギナ(植物)に至っては200本以上の染色体を持っています。染色体の本数は、進化の過程でDNAがどのように分冊・パッケージングされたかという収納形態の違いに過ぎません。
Q3:親子鑑定で使われる「DNA鑑定」は、染色体を調べているのですか?
A3:DNA鑑定では、染色体という大きな塊を観察するのではなく、DNA分子の特定領域にある「STR(ショート・タンデム・リピート:数文字の短い塩基配列が繰り返される回数)」を解析しています。この繰り返し回数のパターンは個人ごとに固有であり、親から子へ正確に受け継がれるため、極めて高い精度で血縁関係を特定できます。広義には染色体の中のDNAを調べていますが、見ている視点は分子配列レベルです。
Q4:ゲノム編集(CRISPR-Cas9など)は、DNAと染色体のどちらをいじっているのですか?
A4:標的としているのは「DNAの塩基配列(遺伝子)」です。ゲノム編集技術は、染色体の中に格納されているDNAの特定の文字列をピンポイントで認識し、ハサミの役割を持つ酵素で切断して修復過程で遺伝子の機能を改変します。染色体そのものを丸ごと操作するのではなく、染色体の中に収められた「本の1行の誤字をピンセットで修正する」ような分子レベルの操作技術です。