1950年代アメリカのアメリカン・ドゥーワップと、日本の昭和歌謡。一見すると異なるルーツを持つふたつのジャンルは、彼のフィルターを通すことで奇跡的な調和をみせる。哀愁漂う短調のメロディに、跳ねるようなスキャットと重厚なベースボーカルが絡み合う瞬間、唯一無二の音世界が立ち現れる。
それは、日本人がかつて歌謡曲に求めた情念の深さと、R&Bが持つ身体的な心地よさの融合だ。派手なギミックに頼らず、声の重なりだけで空間を埋め尽くす職人技。耳の肥えたオーディオファイルから若いリスナーまでを魅了する理由は、この妥協なき音響美学にある。